※滌除(てきじょ)は無くなりました。今は、抵当権消滅請求と言います。
※滌除は債務者に有利でしたが、抵当権消滅請求では抵当権者に有利です。
叔父の会社が倒産してしまいました。兄は、その会社の借金の連帯保証人になっており、負債金額が大きくとても支払えないので、兄も自己破産をするしかないと言っています。
兄所有の土地に15年前に私名義の家が建っています(使用貸借)が、その土地には担保は付いていません、私は連帯保証人になっていないので、何とかこの土地を買い取りたいと考えています。
ただ、債権者が5社ほどあり任意売却での買い取りは難しそうです。このまま競売にかけられ落札されると、私名義の建物も明け渡し命令が出るのでしょうか?改正法では、件外建物の一括競売とか、収去訴訟で簡単に明け渡せるようにかいてありますので、不安です。せめて落札者に、建物の買い取り請求などは出来ないのでしょうか?
A.当センターの回答
(1)お兄様の土地に15年前に自分名義の建物を建てた。その土地は賃貸借契約では無く、使用者契約であるという事は、使用貸借ということでは借地権が発生しない事は確かです。
(2)現在、お兄様の土地は担保に取られていないので、お客様が早急にその物件を買い取る必要があります。ただ、お兄様も破産という事になり、破産申立直前に財産を処分するとなると、お兄様の破産の申し立てが裁判所で却下される可能性もあります。
(3)お客様だけでなくお兄様が土地を売却する事に対して、債権者が何社有ろうが抵当権者でなければ関係ございません。お兄様のおかれている状況が、叔父さんの保証人であっても、その土地が担保に取られていないのですから、競売になるのも今日・明日の話ではありません。
(4)競売で落札された場合を想定されておりますが、これはまだまだ先の話かと思われます。また、落札されてしまった場合でも、建物はお客様の物なので明け渡す必要は全くありませんし、裁判所も命令の出しようがありません。落札者はお客様の家を購入したいと言ってくるか、もしくは土地を買い取ってくれと言ってくるかのどちらかでしょう。
(5)改正法のことも問われておりますが、一括競売は、土地が抵当権の設定された後、建物を建てた場合にその建物も競売にかけて良いと改正されたものであり、更地の抵当権を保護するという事です。建物収法などで訴訟を起こされる理由がお客様には全く見あたりません。
現在、私名義の住宅ローンが約4,000万円ほど残っています。ここ数年の収入の悪化で住宅ローンの支払いが出来なくなってきています。その住宅を売っても、良くてせいぜい2,000万円位にしかならず、売れても2,000万円のローンが残ってしまいますので困っています。
ある本を読んだところ任意売却か滌除(てきじょ)で家を購入した第三者に抵当権を外してもらい、無担保になったところで残りのローンをサービサーに移す事が出来ると書いてありました。ただその家の住宅ローンを組んだ時、私の実家が連帯保証人になっていますが、私名義の住宅だけでなく実家も担保になっているのです。こんな場合、その家を購入する第三者が、任意売却で抵当権者と話し合いであろうが滌除(てきじょ)であろうが、家を購入する第三者が購入する物件と実家の抵当権を一度に消滅させることはできるのでしょうか?
滌除(てきじょ)
A.当センターの回答
(1)詳細を書くと非常に長くなりますので、要約だけを記載させて頂きます。
住宅ローンの残りが4,000万円有り、売却価格が2,000万円と言うことですから、2,000万円の債務が残るという事になります。ご実家も担保に取られているとのことですので、競売で回収をすると債権者が考えれば、ご自宅とご実家の両方を競売にかけてくるというのが通常です。
(2)滌除(てきじょ)でご自宅家を第三者に売却すると書いてございますが、現在はこの滌除(てきじょ)というものは無くなり「抵当権消滅請求」と呼び名が変わり、そして内容も変更されました。この滌除(てきじょ)は悪質に使われるケースが多く、改正では抵当権者に有利になっております。そして、この方法はこの手法に精通されていない方が取る方法ではありません。
「抵当権消滅請求」
(3)「実家の抵当権も一緒に外せるか?」とのご質問ですが、こちらははっきりと申し上げて無理です。2,000万円の債務が残るのですから、実家の抵当権が外れることはまず有り得ません。
※滌除(てきじょ:旧制度名):現在の滌除(てきじょ)は昔の制度とは大きく違っております。何が大きく変わったかというと、債権者が競売にかけた場合、昔の滌除(てきじょ)と呼ばれた時代は、競売で物件が落札されなかった場合には、債権者がその物件を買い取らねばなりませんでした。ですが、新制度の抵当権消滅では、競売を申し立てた債権者は物件が落札されなくても、その物件を買い取る必要が無くなりました。従って、債権者は滌除(てきじょ)後に躊躇無く競売を申請されます。
※当センターでは任意売却後の残った住宅ローンの支払い・債務に関しては、ご依頼者様にとって納得の行く内容で債権者側と交渉をし、話を取りまとめております。