任意売却後の返済の確約を公正証書で取られる場合が有ります。任意売却を依頼する業者選びは慎重に行いましょう。都合の良い話を論ずる業者にはご注意ください。
任意売却を扱っている会社のホームページに実際に下記の説明文が存在します。ですが、現実にはあり得ない話ばかりです。都合の良い話に惑わされて最後に泣くことにならないよう願っております。
お客様の住宅ローンの残債が4,000万円あるとします。不動産売買価格が仮に3,000万円と想定し、その物件が売却できたとします。すでにこの時点で、売却金額にて残債務を全額返済することはできません。ましてや販売価格は、依頼主と我々販売業者が決めるのではなく、お客様にお金を貸している債権者が過去の事例をもって価格を確定します。
数百万円の成約お礼を捻出する為には、債権者より提示された販売価格プラス数百万円加算して販売活動をしなければなりません。債権者の希望する販売価格でも高過ぎて売れないのに、それに数百万円上乗せ価格では実勢相場に価格が伴わず、御礼金どころか購入者も見つからず、結果競売になるでしょう。
あり得ない話ではありますが、仮に数百万円の利益が出と仮定しましょう。しかし債権者には残債務が4,000万円残っている状況の中、お客様にお礼に数百万円とは、債権者が黙っているはずはございません。また、債権者からの引っ越し代は必ず出るとは限りません。住宅金融公庫では、2007年5月以降、引っ越し代は極力出さない方向へと方針が変わりました。債務者の困窮状況を訴えて、交渉をすることで初めて多少の引越し代を捻出してもらうことが出来るかもしれないという状況へと変化しております。
※多くの業者さんは2007年5月以前の事例を引用し過ぎております。100万円越えの引越代がもらえたのは過去のお話です。しかし、現在はそのような事はございません。
例えば2,000万円で売却した場合、1,000円の債務が残ります。この残った1,000円の債務はどの様な手段・方法を使っても消すことはできません。もし、2,000万円の残債務が有り、3,000万円以上で売れるのであれば任意売却で処理する必要性は全くございません。残債務よりも高く売れるという事は債務超過(オーバーローン)では無いということになります。
また、任意売却になった場合、物件の価格を決めるのは我々不動産業者・司法書士・弁護士等では無く、債権者であり、路線価・市場価格を参考に販売価格が決められます。残った債務の支払義務も当然残ります。残る債務のことを残債務と言いますが、これは債権(商品)ですので、売買されて債権者間を移転する可能性が高い確率で存在いたします。最初の任意売却を交渉した債権者が月々1万円のお支払いで同意をしてくれていた場合でも、債権者が変わって次の債権者からは月々3万円の支払いを求められるケースもございます。残念ながら、我々不動産業者に出来るお手伝いは最初の債権者までしかできません。債権者が変わられた場合、二つ目以降の債権者との交渉は弁護、司法書士の領域となります。
何度打ち合わせをしようと、残債務がゼロになることなどは法的にも絶対にございません。金融機関が債務を一切免除する事はありません。必ず債務は残ります。大切なのは残った債務をいかに少額払いで済ませてもらうかです。数年後には話し合いによっては残債務を安く買い取ることはできるかもしれませんが、それも交渉次第であり、確約が出来るものではございません。
いわゆる無担保債権となるから、催促されても怖くない?いわゆる不良債権はサービサーからサービサーへ転々と転売されます。転売され所有者が変わった債権は、時には債権回収業務等の教材などに使われる場合があります。そのような状況を逆手に「うやむやになってしまうから大丈夫」等の説明をして、返済義務から逃げても平気と論ずる業者が存在するのです。しかし、実際は債権者によっては、残債務の支払に関して "支払約定書" という契約書を "公正証書" で取る場合がございます(結構多い事例です)。無担保債権だから、担保を取られていないからという理由でこんな説明をしている会社に任意売却を依頼すると、任意売却終了後、半年後から1年後に突然給料差押え等のペナルティが大きな確率であり得ます。債権者は、色々な方法で返済を迫ってくるのです。取られる家も無いのだから大丈夫だと思っていたら、ある日突然職場に給料差押えの通知が届いていることも考えられるケースです。
このような話はございません。住宅ローン残高の圧縮は絶対に不可能であり、減額交渉は非常に有能な弁護士が行ってもまず無理とお考えください。任意売却は対象不動産を売却して、尚残る残債務に関して、返済方法を交渉することです。残債務の額を減らすことではありません。
対象不動産の販売活動をする際には、それなりの時間がかかります。したがってすぐには現金化など出来ません。不動産を売却して直ぐに現金化出来る場合は債務超過していない物件だけです。仮に売却が成立したとしてもその売却金額はお客様にでは無く、債権者に渡されます。それは住宅ローンの残債よりも売却金額の方が必ず低くなるからです。
売却代金分配の主導権は、我々不動産業者でも債務者(お客様)でもありません。債権者がお金の配分の主導権を握っております。私たちはお願いをして、お客様の置かれた状況を説明し、交渉を進めて少額の引越し代を捻出してもらっております。したがって、債権者の意思に反した資金の一部を残すことが出来るなどということはございません。また債権者が支払う引越し代は義務ではございません。あくまでも債権者の善意でしかないのです。『一部の資金』が引越し代を指しているのであれば例外ですが、引越し代は必ず貰えるものでは無いということをご理解ください。不動産を競売で売却された場合は、売却価格の全てが債権者(金融機関)に支払われますが、任意売却は話し合いにより売却価格から一部の資金(引越し代)を残すことが可能です。
原則売却代金の全ては債権者に支払われます。従って、お手元に資金が残ることはございません。但し、その支払い額の中から引越し代を捻出して貰える場合がございます。競売と違い、この余剰金によって売却後の心配をしなければならない、と言った精神的苦痛からの回避にもなります。
「当社に任せてくだされば、任意売却終了後200万円から300万円をお支払いします。」 と、いうようなセールスが有ったら、その申し出・提案・条件を必ず文章(念書)でもらっておくことを強くお勧めします。そして、全ての記録を保管しておくことをお勧めします。ただし、他社とのご契約の場合、当センターではご相談は受けかねますので、ご了承ください。